ベトナムのビングループについてご存知でしょうか? ベトナムでは知らない人はいないとさえいえる、財閥企業ですが日本ではあまり親しみがないかもしれません。非常に多角的な展開をしている民間企業です。この記事では、このビングループの概要や歴史について解説します。
ベトナムのビングループとは
ビングループは、ベトナム最大級の巨大企業グループです。拠点はベトナムの首都ハノイに構えられています。中核は不動産・リゾート開発ですが、その他にも多用な事業に展開しており、もはやベトナムで関連企業のサービスを利用していない人はいない、といっても過言ではありません。
創業者はファム・ニャット・ブオン氏で、現在も会長として代表者を務めています。彼は、一台でグループを築き上げました。現在では7,000億円を超える資産を持っているといわれており、世界でも有数の大富豪の一人です。
ビングループの歴史
創業者のファム・ニャット・ブオン氏は、奨学金を借りてモスクワのち質大学に留学しています。卒業後もベトナムには帰国せず、在学中に知り合った仲間たちとモスクワで1993年のテクノ系のグループを創業しました。当時は、原材料を安く輸入してインスタントラーメンと製造・販売する事業を展開していました。この事業の成功によって集めた資金が、ビングループの基盤になっています。
氏は、2000年にベトナムへ帰国し、政府との連携により、観光・娯楽の事業を展開するビンバールを設立しました。さらに、2001年には、商業施設開発や不動産開発の事業を行うビンコムを設立しています。当時、ベトナムは長きにわたる景気低迷が回復し、国民の多くはレジャーや娯楽を求めていました。
2010年には、ホーチミン市のビンコムセンター・ドンコイ、翌年にはニャチャンのビンパール・ラグジュアリー、ビンパールゴルフなど、ビルや商業施設の建設が相次ぎました。また、住宅開発業を行うビンホームズを設立するなど、さらに事業展開の幅を広げています。
2012年には、ビンパールとビンコムを統合し、ビングループを設立しました。自身を会長のポストに置いています。さらに、コンサルタント会社のサポートを得て、以降は事業の幅をさらに広げていくことになりました。同年に医療事業を行うビンメックを設立し、2013年には教育事業を行うビンスクールを設立しています。
その後も、短いスパンで新しい事業に参入しています。2014年には小売りのビンコマース、2015年には農業投資生産を行うビンエコを設立しています。さらに、2017年には製造業に、2017~2018年にはテック業界に参入しました。現在、ベトナムの商業・経済はビングループによって支えられているといっていいでしょう。
ビングループの子会社たち
ビングループはさまざまな事業に進出しており、現地ベトナムの人でも把握しきるのは困難なほどです。代表的な子会社は以下のとおりです。
- ビンホームズ
不動産販売事業を行う。
- ビンメック
医療分野の事業を行う。
- ビンエコ
農業投資生産開発事業を行う。
- ビンファスト
自動車製造業・電動バイク製造業を行う。
- ビンファ
医薬品製造事業を行う。
- ビンスマート
スマートフォン製造事業を行う。
- ビンコマース
小売事業を行う。
近年のビングループの動向
ここまでは、ビングループ創業から現在までの大まかな歩みについて解説しました。以下では、近年のビングループの注目すべき動向を解説します。
小売事業を売却
2019年には、ベトナムの食品産業最大手であるマッサンブループの小売部門とビンコマースが統合されました。具体的には、コンビニやスーパーマーケットの経営権をマッサングループに売却しています。
この売却の背景には、「製造業に注力したい」というビングループの意向があります。製造業の強化のために資金調達が必要になり、それにともない赤字が続いていた小売事業の売却にいたった形です。
スマホ事業をストップ
小売事業を売却することで強化を図った製造業ですが、スマホとテレビの開発・製造に関しては2021年にストップしています。スマホの開発を行っていた部門は、今後車載システムの開発などを担当する見込みです。さらに、自動車製造のビンファストは今後、EVに注力していくことをアナウンスしています。
ワクチン生産に着手
世界的な状況を受けた動きとしては、新型コロナウイルスのワクチン生産に乗り出したことでしょう。アメリカのバイオ企業の協力のもと、治験を繰り返しています。ハノイにワクチンの製造工場を建設予定となっており、年間で2億回分のワクチンを生産する見込みです。
まとめ
ベトナムにおいて、ビングループがいかに重要で、どのように経済基盤を支えているかおわかりいただけたのではないでしょうか。ベトナムに移住する場合や、ベトナムで事業を展開する場合は、無視することができない存在です。今後もさらに成長を遂げていくことが予想されるため、注目していきましょう