ベトナムで労働することになり、納税義務について知っておきたいという方も多いのではないでしょうか。ベトナムの納税は日本とは細かくことなります。あらかじめ納税の仕組みについて把握しておくと、現地での就労に役立つでしょう。この記事では、ベトナムの納税義務や納税方法、納税のために必要となる納税者番号について解説します。
ベトナムの納税義務
ベトナムの税金は、政府が主体となって課税する国税のみです。日本のような地方税は存在しません。国税には複数の種類がありますが、もっとも国民はベトナムに進出している外国人にとって最も身近な税金が個人所得税です。
個人所得税は、ベトナムにおける唯一の所得税です。ベトナムで就労する個人には、もれなく個人所得税の納税義務があります。滞在していなくでも、ベトナム国内で源泉所得がある外国人は納税義務が発生します。ただし、月の所得が基礎控除額以下の場合は個人所得税を納税する必要はありません。ベトナムの基礎控除額は月1,100万ドン(約54,000円)です。
2022年におけるベトナムの平均月収は660万ドンです。そのため、多くのベトナム人は個人所得税を支払う必要はありません。主な対象者となるのは、高所得者です。実際には、個人所得税の納税分の6~8割は外国人の納税額によって占められているといわれています。
また、日本と同じ様に扶養控除があります。対象は以下のとおりです。
対象 |
年齢 |
条件 |
子・養子・非摘出子 |
18歳未満 |
無条件 |
18歳以上 |
大学などに就学中かつ無所得の場合 |
|
父母・配偶者・配偶者の父母 |
労働年齢の範囲超 |
無所得の場合 |
労働年齢の範囲内 |
無所得かつ身体障害により就労が困難な場合 |
|
祖父母・兄弟姉妹・甥姪・叔父、叔母 |
労働年齢の範囲超 |
無所得の場合 |
労働年齢の範囲内 |
無所得かつ身体障害により就労が困難な場合 |
なお、ベトナムには配偶者控除はありません。配偶者が労働年齢であれば、身体障害がない限りは扶養社の対象外となります。
ベトナムの税金の納税方法
ベトナムでは、個人での納税と法人での納税の2パターンがあります。
外国の法人から給与を受け取っている場合は、個人で納税しなければなりません。ベトナム国内の法人から給与を受け取っている場合は、その法人が納税を担当します。
納税期限については、月次、四半期、年次の3パターンがあります。
月次の場合は毎月20日が納付期限です。現地の法人が源泉徴収を行い、管轄の税務署に納税します。
四半期の場合は、四半期の終わりから30日以内が納税期限です。この四半期申告は、ベトナム現地の法人を通じで納付する必要があります。
年次の場合は、課税年度の翌年に入ってから90日以内(3月末まで)が納付期限です。納税者本人が確定申告を行って納付します。
例として、現地払いの給与と日本払いの給与がある場合は、月次の源泉徴収に加え、四半期での納税も必要です。加えて、年次の確定申告で年額との差額を調整します。
ベトナムでは、徴税に関する調査が非常に厳しく実施されています。法人、個人による納税申告が滞りなく行われていれば理想ですが、実際には納税に関して個人・法人が私的を受けることも少なくありません。ベトナムで労働をする場合は、個人・法人が適切に納税を行うように意識する必要があります。
ベトナムの納税者番号
ベトナムで個人所得税の申告・納税を行うためには、納税者番号を取得しなければなりません。
納税者番号を取得するためには、登録申請書、居住する家の賃貸契約書、パスポートの写し、顔写真などを入国後10日以内に提出する必要があります。提出窓口は、居住するエリアを管轄する税務署です。
上記のとおり、ベトナムにおける税務調査は非常に厳格です。近年は特に、申請期限までに納税者番号の取得をしておらず、ペナルティーを受けるケースが目立っています。必要な場合は、納税者番号の申請を忘れずに行っておきましょう。
代表的な例が、日本から現地の駐在所などにスタッフを派遣するケースです。申請期限までに、該当スタッフの納税者番号を忘れずに取得してください。
また、現地でベトナム人スタッフを雇用する場合も、スタッフの納税者番号を把握しておかなければなりません。現地でベトナム人を採用する場合は、納税者番号を確認しておきましょう。万が一取得されていない場合は、会社から取得の申請を行う必要があります。
取得した納税者番号は、税務署のホームページで確認できます。
まとめ
ベトナムの納税義務や納税方法、納税者番号についてお伝えしました。ベトナムの個人所得税の税収は、ほとんど外国人労働者から徴収されています。そのため、税務署が行う外国人労働者への税務調査は非常似厳格です。納付期限遅れ、申告漏れなどの不備があると私的を受ける可能性があるため、ベトナムで働く場合は注意しましょう。また、入国後10日以内の納税者番号を発行することも忘れないようにしてください。
参考
https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/invest_04.html
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/crs/pdf/nouzeibangou.pdf
https://www.tk-sr.jp/business/asia_employment/vietnam/index2_05.html#:~:text=%E7%A8%8E%E9%87%91%20%E7%B4%8D%E4%BB%98%E6%96%B9%E6%B3%95,%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%86%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
https://www.i-glocal.com/service/write/pdf/smbc_globalInformation_201903.pdf