日本からベトナムに個人で移住する際などは、同国の平均年収が気になるところでしょう。また企業が新規事業を展開する場合も、首都ハノイをはじめ月々の給料について理解を深めておくとビジネスを進めるとき役立つかもしれません。そこで今回は、ベトナムの平均年収やハノイなどの月収相場についてご紹介します。
ベトナムの平均年収
最近の調査によると、ベトナムの平均年収は約25万~30万円です。国は最低賃金を定めていますが、地域や職業ごとに多少の違いが見られます。
国内全体の平均年収
近年に限れば、ベトナム国内の全体的な平均年収は30万円前後です。ここ数年間の推移を見ると、年によって数万円ほど変動しています。
ベトナム労働総連盟による調査の場合、国内のベトナム人が獲得した年間の給料は2018年時点で約30万円でした。また日本貿易振興機構(JETRO)の発表で、2020年の平均年収は25万3,800円と伝えられています。
アメリカが以前から実施している調査に目を向けると、かつて2008年の平均額は約7万3,200円でした。その後、2019年には約22万3,500円まで上昇しています。
昨今は世界的なコロナ禍の影響もあり低調といえますが、この十数年の間にベトナム国内の平均年収は大幅に上昇したと認識されています。
国が定める最低賃金
現在のベトナムは、国が最低賃金を定める仕組みです。実際の価格設定は、日本と同じく地域によって異なります。2019年に改定された最低の月収額は4地域に分けられ、各地域ごとの具体的な内訳は次の通りです。
地域1(ハノイ・ハイフォン・ホーチミンなど):約20,500円
地域2(ダナン・バクニン省など):約18,200円
地域3(ハナム省など):約15,900円
地域4(上記以外の地域):約14,300円
いずれも、2018年1月の設定額に比べると約5%の上昇率です。2019年当時はコロナ禍の影響がなく、国内の経済状況は上向いていたと分かります。この数年来はベトナムの最低賃金が上昇傾向にあり、平均年収も約10年間で3倍以上に増えました。
高収入を得られる職種
現在、ベトナムの平均年収は全体で30万円くらいに達しましたが、職業ごとに多少の差異があります。
いまベトナム国内で人気の高い職種は、販売・営業系、事務関係、経理・財務系、IT系などです。いずれも大勢の国内労働者から人気を集めますが、必ずしも年収の平均相場が高いわけではありません。
とくに多額の給料を得ている職種は、IT系です。国内外を問わず多くのニーズがあり、人気だけでなく平均年収も高くなっています。いま経済発展が著しいベトナムでは、建設・不動産関係の業種も高額年収を期待できます。
他には観光産業のうち宿泊施設のサービススタッフや金融関係、また高度な専門スキルが必要な経理・財務系が高収入を見込めるといわれる職種です。
首都ハノイなどの月収相場
ベトナムの首都ハノイは都市部のホーチミンやダナンと並んで最低賃金が高めであり、農村部に比べると高収入を得やすい地域です。2020年1月に実施された法改定でも、月々の最低賃金は前年比で6%近く上昇しています。
ハノイの平均月収
ハノイは、ベトナムの北部に位置する首都です。ホーチミンおよびダナンとともに、国内の主要3都市として知られます。
当エリアには日本や欧米をはじめ外資系企業のオフィスが多数あり、経済活動が盛んです。他の地域より人件費は高いうえ勤務時間も長く、月々の収入額は高くなる傾向にあります。
最近、ベトナム統計総局(GSO)は、2020年の生活水準に関する調査結果を発表しています。その報告内容を見ると、ハノイの平均月収は約2万8000円でした。
この金額はビンズオン省(約3万3000円)とホーチミン(約3万1000円)に続く第3位であり、国内でも上位クラスにあると分かります。
ベトナム各地の月収相場
ベトナム統計総局の上記調査は、63に及ぶ都市・省の4万7000世帯を対象に実施されました。
同上の報告によれば、ハノイまでのトップ3以外に平均月収が約2万3000円を上回った地域はハイフォン、ダナン、バクニン省、ドンナイ省、カントーの5つです、
国全体の月収相場は、約2万円にとどまりました。この数字をトップ3と比べた場合、1万円前後の差が生じています。また2019年からは、2%と減少したといわれています。
さらに都市部(約2万6000円)と地方(約1万6000円)では約1.6倍の開きが確認され、貧富の差を指摘する声も聞かれます。
国内の物価や生活費
ベトナム国内の平均年収や月収の相場額を見ると、日本や欧米より低いと感じるかもしれません。ただ物価や生活費も比較的に安く、日々の生活を送るには問題ないと考えられています。
世界の生活費を比較するサイトは、米国のニューヨークを100とした場合の物価を比較しています。そこで示された「生活費プラス家賃指数」のデータによると、日本の67.72に対してベトナムのハノイは25.54でした。
これらの数値をふまえる限りベトナムの物価は日本や米国の約1/3~1/4と判断され、都市部で高収入を得られれば生活可能と見られています。
まとめ
さまざまな組織の調査によると、ベトナム国内の最近の平均年収は30万円前後、首都ハノイの月収相場は約2万8000円でした。これらの金額は、日本や欧米より低所得といえます。それでも物価や生活費が安く済むことを考慮すると、一定以上の収入があれば暮らしていけると判断できます。
参考サイト:
https://tieng-viet.jp/average-income/
https://leveragescareer.com/ja/vn/contents/article/3637/
https://web-box.co.jp/carrer-world/vietnam-average-annual-income/