2018年に国交樹立45周年を迎えた日本とベトナム。それは外交関係を樹立後、有効な関係を育んできたからこそ。近年では、両国の新型コロナウイルスの感染拡大防止策の成果を互いに評価しあい、ベトナムは日本にとって最初の往来緩和措置国となりました。これはお互いにとって両国が大切な援助国、貿易相手国であることの表れではないでしょうか。本記事では、ベトナムと日本の歴史について紹介します。
古代~近世のベトナムとの関わり
日本とベトナムの関係の始まりとされている記録は、なんと8世紀まで遡ることができます。それは、林邑(チャンパ、現在の中部ベトナム)出身の僧・仏哲によって林邑学という舞楽が伝えられ、長らく日本の宮廷や寺院で演奏されていたという出来事です。また、阿倍仲麻呂という人物が、唐王朝の役人となり現在のベトナムのハノイ辺りに赴任していたという史実も残っています。他にも、九州から出土したベトナム製の陶器に「1330年」と刻まれているなど、日本人に関する遺跡がベトナムに数多く残されていることから、古くから両国に交易があった証拠といえるでしょう。
よりベトナムとの本格的な関係が築かれたのは16世紀以降です。貿易が盛んとなり、ホイアン(ベトナム中部)の港に度々日本の船が訪れ、現地にたくさんの日本人が住んでいた記録が残っているのは、17世紀初頭のことです。絹や香木、シルクや砂糖などを主に積み出しており、日本からは銀・銅・青銅などが運ばれそれらと取引されていました。
あの徳川家康も友好的な手紙や贈り物をベトナムに送っていたという逸話も残っており、日本が鎖国後も実はベトナムとは定住者やオランダ商人を通じて関係は続いていたのです。
近現代のベトナムとの関わり
19世紀には、ベトナムはフランスによって植民地となります。ベトナム国内では支配に対して民族運動の意識が高まり、その指導者のひとりであるファン・ボイ・チャウがアジアで唯一近代化に成功した日本に援助を求めて来日します。彼は犬養毅や大隈重信から人材養成が必要であると助言を受け、これがベトナムの青年たちに独立運動を担う人材確保のための日本留学を呼びかけるきっかけとなりました。最盛期には200名前後の留学生が日本で学んでおり、当時の日本がベトナムにとっていかに魅力的にうつっていたかが伺えます。
第二次世界大戦後にベトナムは南北に分断されましたが、高度経済成長期にあった日本は南ベトナムと引き続き外交関係を続けます。天然ゴムや塩、非鉄金属などが日本へと輸出され、日本からは機械製品や繊維製品、二輪車がベトナムへと運ばれました。一方、北ベトナム(ベトナム民主共和国、現在のベトナム社会主義共和国)は1973年に至るまで日本との間には政府間の正式な外交関係はなかったものの、その間に日本ベトナム友好協会、日越貿易会が設立され、非公式の交流が徐々に盛んになっていきました。
ベトナムはその後ドイモイ政策(経済改革政策)を掲げ、東南アジア諸国連合(ASEAN)、アジア太平洋経済協力(APEC)にそれぞれ加盟します。
1975年から始まった日本からベトナムへの援助により、日本企業への対ベトナム投資が拡大し、貿易額が大幅に増加しました。その結果、2000年にはベトナムにとって日本は最大の輸出国となったのです。
主な輸出品は原油、履物、繊維製品、水産物、お米、コーヒー豆、ゴム、美術工芸品、カシューナッツ、野菜、石炭、胡椒などであり、特に原油が大きな割合を占めており、これを見るだけでも、日本にとってベトナムは欠かすことのできない国であることがわかります。
現在の日本とベトナムの関係
2000年以降、両国の関係について『パートナーシップ』という表現が多岐にわたり使われるようになりました。2006年に共同声明「アジアの平和と繁栄のための戦略的なパートナーシップに向けて」が発表された以降は、両国間のあらゆる分野で日本とベトナムの協力関係が進展しました。2013年には「日越友好の年」とすることに合意するなど、同じアジアの国として相互に重視し、友好な関係を構築し続けています。冒頭で触れた日越外交関係樹立から45周年の節目となる2018年には両国で数多くの文化交流イベントが開かれ、文化やスポーツなど民間レベルの交流も非常に盛んになっています。日本、ベトナムの信頼関係がさらにこれから深まっていくことが期待されていくでしょう。
まとめ
400年以上前から貿易交流が盛んだった両国。近年の正式に外交関係を樹立してからの40数年間は「政治・外交・経済・貿易・投資・人材育成・科学技術・文化・民間交流」など全ての分野において、互いに重要なパートナーとなっています。日越友好関係はそもそも文化的類似点から生まれ始まっており、歴史において日本と同じく中国の強い影響下にあったため、実は日本とベトナムは似ているのです。ベトナム人の勤勉さと真面目さを日本とかけ合わせれば、これからさらに発展していくことでしょう。
参考
https://www.jpmac.or.jp/file/1631843675214.pdf
https://www.archives.go.jp/event/jp_vn45/index.html
https://famous-popular.tokyo/joy/culture/6612/